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私の罪・妻の功 6 (山城)

[9116] 私の罪・妻の功 6 山城 投稿日:2006/02/21 (火) 23:13
偶然通りかかった叔父の家のガレージに、妻の車が止まっているのを見つけてしまった私…それまで漠然と感じていた違和感が、一気に現実味を帯びた瞬間でもありました。
叔父も妻も家の中にいるのか…もしかしたら、ゴルフか何かの接待で、車は叔父の家に止めて出かけているのではないか…そう考えるしかありませんでした。
叔父の家に入って確かめる。思えば、確かめてしまう事が恐かったのでしょう…そんな勇気は湧いてきませんでした。
私は緩めたスピードを元に戻し、外回りの仕事を続けました。 夜になり、私は誰もいない暗い家に帰宅します。自分と妻の分の夕飯を作り、妻の分にはラップを掛けておいて、一人食事を摂る。ほとんど毎日がそんな生活になっていました。
夜9時をまわった頃、妻が帰宅しました。
「ごめんね。急に会議に呼ばれちゃって…」妻は、私より帰宅が遅くなる事を、そのたびに必ず謝ってくれました。
私は妻の夕飯を温め直してやりながら、質問してみました。妻の車が、叔父の家に置いてあった事は事実ですから、どこか接待にでも連れ出されていた…そんな答えを期待していました。 「今日は仕事疲れた?どっか行ったりしたの?」
問い掛ける私に妻は、「ううん。いつもと一緒だよ。デスクで数字とにらめっこ…どうして?」
嘘をつかれました…

もちろん、叔父と妻に、何かあるというのを目にしたわけではないし…でも、もし何かあっても現状では仕方無いのかな…と、そんな考えにも陥っていました。
結局、確かな事実を目の当たりにする事も無く、ただ叔父と妻の関係に対する、不信感のような物を募らせながら、月日だけが流れていきました。 叔父に雇ってもらう身となり、妻が叔父の秘書のようになってから、約1年が経過し、今から3年前の暮れになっていました。
叔父の会社では2,3年に一度、大々的に泊まりでの忘年会を開いていました。近場の温泉に宿を取り、約30人の社員とパートさんなども一緒に参加するイベントです。
妻は当然強制参加で、私はやめておこうと思ったのですが、結局叔父に勧められて参加する事になりました。
バスの中では最後列に叔父と私の妻、それに幹部連中が陣取り、乾杯とともに酒盛りが始まっていました。私も多少顔見知りの社員と酒を交わしながら、せっかくの忘年会を楽しむ事に専念しました。
叔父は酔ってくると、まるで愛人かのように妻の肩を抱き寄せ、時々耳元に口を付けては何か囁いたりしています。妻は嫌がる素振りをしながらも、完全に拒否もできず、作り笑いを浮かべて私の視線を気にしたりもしていました。
しかしその頃、その程度の叔父と妻のじゃれ合いには、慣れてしまった自分もいました。接待や酒の席で、しばしば見せられる愛人関係のような雰囲気…
嫉妬が無いわけではありません。
でもそれ以上に、叔父に見離され、自分と妻の生活を失う事が恐かったのです。そうならない事が、妻の幸せにつながるとも思っていました。

旅館に着き、ひと休みすると次は夜の宴会が待っていました。
女子社員やパートのおばさん連中もいるので、接待の時のように妻が動かされる事は無いのですが、当たり前のように妻の席は叔父の隣でした。
その時31歳、温泉に入り少し上気した顔に、髪をアップにした妻はとても艶やかで、自分の妻ながらそそられるようでした。
実は、私と妻が夫婦だという事を特別公表していなかった為、叔父と妻の隣り合う姿を見ている社員達の中には、妻を『社長の愛人兼秘書』と見ている者も多かったのです。
その時、私の隣に座っていた男性社員も、妻の事を『妾さん』などと表現し、厭らしい誉め文句を並べていました。
宴も進み、いよいよ盛り上がってくる頃には、叔父と妻のカラオケデュエットが連発され、肩から廻された叔父の手は、明らかに妻の胸元に潜り込み、乳房をまさぐったりしていました。
私は居たたまれなくなり、何度もトイレに立ちました。
叔父と妻の、何回目かの歌が終わった頃宴会場に戻ると、叔父は妻に何か耳打ちしていました。
妻が首を横に振っているのは見えました…叔父はそれを無視するかのように、妻の肩を軽く叩いてから、一人立ち上がり宴会場から出てしまったのです。
後に残された妻は、なにか考え込んでるような表情で、心がそこに居ないかのようでした。
心配になった私が立ち上がり、妻に近寄ろうとした時。やや先に妻の方が立ち上がり宴会場から出て行ったのです。
気分でも悪いのか…そう思って後を追おうとしました。しかし隣に座っていた男性社員が呟いたのです。「いいなぁ、社長はこれからお妾さんとお楽しみかぁ…俺たちも、場所変えてハメはずしますか?」
その言葉に鳥肌が立ち、一気に血の気が引いていくのを感じました。「まさか…」その一語だけが頭の中を駆け巡って、すぐには立ち上がる事もできませんでした。
社長が中座した事で場はお開きムードになり、何人かずつのグループで二次会に繰り出す事になりました。私はその時点でやっと立ち上がる事ができ、二次会の誘いも耳に入らない状態で、叔父の部屋へと歩きだしたのです。
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