[9178] 私の罪・妻の功 7 山城 投稿日:2006/02/23 (木) 17:20
叔父と妻が宴会場を出てから、すでに30分位は経過していたでしょうか。
私は叔父の部屋をめざして旅館内を歩きました。頭の中は宴会場で男性社員に言われた、
「社長と妾さんはこれからお楽しみか・・・」の言葉でいっぱいになり、押し潰されそうでした。
叔父の部屋は廊下の一番奥にあり、入り口に格子戸、その奥にさらに襖が見えます。
ほかの部屋より間口も広く、豪華な造りでした。
心臓が飛び出してしまうかと思うほど高鳴るのを感じながら、私は格子戸を静かに開けました。
周囲にはほとんど雑音が無く、遠くから時々笑い声と喋り声が聞こえる程度です。
格子戸を開け、襖に近づいて耳をつけてみました。叔父と妻の会話位は聞き取れるかと
思ったのですが、驚くほどに襖の奥は静寂に包まれていました。
もしかしたら部屋には戻っていないのか・・・そう思って立ち去りかけた時、
奥から微かな人の声と、気配が感じられたのです。
意を決して襖を小さく引きました。
そこは常夜灯が灯っているだけで誰もいない繋ぎの間のようになっていました。
その奥にさらに襖があり、それを開ければ叔父と妻がいるはずです・・・
男の低い声が、さっきより大きく聞き取れるようになりました。
内容までは聞こえないのですが、間違い無く叔父の声でしょう。
私は繋ぎの間に足を踏み入れ、奥の襖に手をかけました・・・
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