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イトコと親友に、そして・・・(9) (正光)

[18928] イトコと親友に、そして・・・(9) 正光 投稿日:2007/04/13 (金) 06:04
姉が社員旅行に出る朝、「私がいないからって、あんまり羽目外しちゃダメよ!
アッ、マー君病院だったもんね、1人じゃそんなに飲めないか・・」

その言葉に、明らかに狼狽の様子を隠せなかった義兄と綾。
その様子に、けげんな表情を見せた姉。一番うろたえてしまった私。

母のベッドの横に作った寝苦しい簡易ベッドの上で、何度も何度も二人の狼狽の様子が
私の脳裏をよぎり、9時の消灯から眠れる筈も無く、悶々と寝返りを繰り返すうち、
早くも11時になっていました。
  「ギ、ギーッ」
看護師さんの懐中電灯の明かりと同時に、ヒソヒソと話し声が聞こえてきました。
「○○さん、○○さん、お姉さんが来てくれたわよ」
後ろに姉が立っていました。
「??? あれ? 姉貴、何やってるの?」
「ん~、何か気が向かなくってさ、止めちゃった! 最近マー君疲れてるみたいだからさ、
今夜、代わってあげる。家でゆっくり眠って、ね?」

いきなりの事で、事情の変化が飲み込めずにボーッとしていると、
「さ、早くして、お母さんもその方が眠れるから」
私は疲れが溜まってきたきたせいか、イビキの音がうるさいらしく、
「あ~、今夜は眠れない日だね」母に言われていました。

私は急ぎ、病棟の廊下を小走りに通り過ぎ、エレベーターに乗り込みました。
急に胸騒ぎと焦る思いに襲われ、何時の間にか、”開く”ボタンを押し続けていました。
ようやくエレベーターのドアが開くと、出口までの廊下を全速力で走りぬけ、ようやく
車にたどり着きました。空気がやけに冷たく、上着を忘れた事に気ずきましたが、
どうでも良い事。もう、子供達は眠って入る筈。時々一緒に眠ってしまう事もありますが、
今夜の綾は、そんな筈はありません。
記憶に無いほど猛烈なスピードで家に向かいました。

慌てていて、家の前で止めてしまい、駐車スペースにバックで入れそうになり、(シマッタ!)
カーッと頭が熱くなり、慌ててノロノロと前の空き地に。
ドアを押し付けて、グッと又押して閉め、自動ロックの ”ガンッ”という音に(シマッタ!)
10メートルもない玄関まで全速力! 義兄の部屋の窓は暗くなっていました。
急に2人の絡み合う姿が脳裏を襲いました。
慌てていてキーがうまく入らず、深呼吸をして、もう一度。

階段の下にたどり着くと、「バッシャー」 ドンドンドン・・義兄の足音。
「綾子さん、あんまり気をつかわないで、ビールあればいいからさ」
「あ、すみません、すぐ出来ますから」
何か、新婚の会話の様な変な感じ。
リビングのドアの閉まる音はしましたが、キッチンのドアは大抵開いています。

細心の注意で階段を上がり、頭だけおそるおそるキッチンにむけると、果たして
ドアは開いていました。 綾が、何かを包丁で切っている姿がチラッと見えました。
目の前がリビングのドア。 開く事を恐れて又階下へ。聞き耳を立てます。

「すみません、遅くなっちゃって」
「いや、今夜は良かったのに、悪いなー」
「子供達おこすと悪いから、向こうのドア、閉めておこうか」
「エッ?あ、そうですね」
サッサッサッ・・・ キー ガタン!

手すりをつかむ腕の力を最大限に使い、足音をきずかいながら、ようやく頭を出し、
キッチンを覗くと、ドアが閉められていました。
2階の廊下の空気がムッとするほど熱く感じました。
廊下に立つと、二人の世界がただよい、体が少し震えてきました。
約2メートル。ようやく引き戸の前に立ち、恐る恐る・・なかなか入れるほどに開きません。
二人の会話が耳には入ってきても、意味など解せません。
ようやく部屋に入りましたが意外に暗く感じられ、(!)襖は閉じられていました。
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