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写真の妻 2 (ノイズ)

[15708] 写真の妻 2 ノイズ 投稿日:2006/12/18 (月) 23:00
年が明けて今年の1月中旬…
田辺は写真展のお礼にと、私と妻を食事に招待してくれました。
写真展の後しばらくは、妻が田辺の前で脱いだのではないか…
と疑心暗鬼にかられていたのですが、その考えは頭から消す事にしていました。
現実的に考えればありえないような話です。
恥ずかしがりな妻が、夫の古くからの友人に裸なんか見せるわけがないし。
しかもそんな写真は撮らないと、念を押していたのです。
あまり妻を問い詰めたりして、嫉妬をしている…なんて思われるのも癪でしたし。
ともかく私自身も考えないようにした事で、そんな出来事はありえない…という結論に至りました。

田辺は良い写真展になったと、私と妻を行きつけの寿司屋でもてなしてくれました。
うまい日本酒を呑みながら、三人いろいろな話で盛り上がり、
酔った田辺は写真談義を始めました。
その話を楽しそうに聞く妻。
妻の楽しそうな顔を見れば、嫌な気持ちも起きませんでした。
そろそろあがろうかという頃になり、田辺は大きめの封筒を取出し、妻に手渡しました。
写真展で使った写真が入っているようでしたが、その時は開けて見る事はしませんでした。
最後に田辺は、「和美ちゃんの写真、すごく好評でさ。もし、また機会があったら撮らせてもらえないかな?」
と妻と私に笑顔を向けます。
妻はニコニコしながら、「そうね~、旦那様しだいかなぁ…?」と返し、私の方をチラッと見ました。
私も愛想笑いしながら、「また機会があったら、その時にな。」と返しておき、その日はお開きとなったのです。
その後もそれまでと変わらず、月に1~2回は田辺と酒を呑む機会がありました。
3月になり、ある週末…私は田辺と行きつけの居酒屋にいました。
田辺からちょっとした話がある、と呼び出されたのです。

写真展での妻の写真が好評だったらしく、知り合いのプロ写真家などからも、
同じ被写体を使って継続的に撮っていったらどうか…と勧められたという話でした。
当然、田辺自身がプロではないので、専属モデルなどという大げさな事では無いと言います。
考えこみました…
妻が田辺の前で裸体を晒したのでは…と妄想して嫉妬までした自分。
実際に写真を見た時、それまでにない魅力を発している妻が写っていたのも、事実です。
自分以外の男が、妻のそんな魅力を引き出した事に、嫉妬したのかも知れない…そんな風にも考えました。
私は疑っていた事も含めて、すべて田辺に打ち明けてみました。
田辺は笑う事なく、真剣に受けとめたようです。
それからこう話し始めました。
田辺「写真を撮っていくうちに、おまえの嫁さんである事を忘れるくらい、女を感じたっていうか…
そういう魅力を引き出せたっていうのは本当だよ。
友達の奥さんでなければ、抱きたいと思ったかも知れない。
でも、和美ちゃんはあくまでもお前の嫁さんだし、俺の撮影に協力してくれるパートナーとしか考えていないよ。」

そうは言われても、すぐに首を縦には振れません。
田辺は、私自身がまずは納得できたら、妻に持ちかけてみて欲しい…と言いました。

しばらく私はその事で頭がいっぱいでした。
田辺の言う事に偽りは無い…そう信じてもいました。しかし、妻が継続的な撮影を、もし承諾したらどうするのか…
もちろん、私の心の中に留めておいて、妻に話をしなければ良いだけの事です。
田辺から話を受けた一週間後…
私は妻に、田辺からの依頼を全て話しました。
妻は、前回の撮影で感じた事…出来上がった写真を見て感じた事…
照れたような表情をしながら、「違う自分になれたようで、すごく良かった…」と語りました。
妻は、私が反対しないなら田辺の依頼を受けたいと、付け加えました。
私は、妻の考え次第だと思っていたし、正直なところ写真の妻が発する魅力を、もう一度見たいとも思ったのです。

それから田辺は、私の妻を専属の被写体として、撮影していく事になりました。                    つづく
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